top of page
fujiwara2-2-6.jpg

株式会社医科歯科技研 藤原芳夫社長の論文を読んで
第6回

 スキャンデータ取得の原理について書かれた項目では、スキャナで重要な要素である「被写界深度」というよく聞く用語はに対して、「被写界角度」という用語(藤原社長の造語)について書かれています。

 藤原社長は「被写界角度」を、「スキャナがどの程度まで狭く深い穴を計測出来るか」を表す角度として表現されておられます(図17)。

 一般産業界では、穴の入り口のサイズに対して、何倍の深さまで計測出来るかという比率で表現している

らしく、角度「θ」が小さい程、深い処まで計測出来る事になり、図17左は「θ」が20~30度、右「θ‘」は

5~10度になります。

 例えば本来深い被写界深度を持つラボスキャナではポストコアをほぼ計測出来ません。しかしIOSはラボスキャナよりも被写界深度は浅いはずであるにも関わらず、細くても深い処まで計測出来る事が多い。これはIOSの方がラボスキャナよりも被写界角度が小さい為であり、臨在歯付近のクラウンマージンがIOSでは計測出来ても、ラボスキャナでは計測出来ない。これと同じ理由であり、そのため支台歯はトリミングを行い、単体で計測しなければならない為、ポストの計測はIOSに限るという事になります。

 図18AはポストをIOSで計測した結果です。図18B、Cでは使用するIOSにもよりますが、データが欠落する事なくポストの奥まで計測出来ているのが解り、この結果を踏まえ医科歯科技研様ではメタルポストコアの全てをIOSで計測し、パターンをプリント造形しているとの事です。(図19、20)

 藤原社長は、一般的に従来法によるコアのワックスアップは難しいと思っておられ、特にフェルール※が無く、根面カットされた症例は形態を整える時に側方圧が掛かり、適合が難しいとの事ですが、デジタルによるデザインであればその心配は無いとのお考えです。

 

※フェルールとは、失活歯の歯冠修復において、歯冠補綴装置が支台歯のフィニッシュライン歯冠側に存在する健康な歯質の残存歯質を抱え込む部分を言います。フィニッシュラインの上に厚み1㎜、高さ2㎜以上の健康な残存歯質があれば、その周囲をクラウンがリング状に把持し、クラウンの脱落や歯根破折を防止する効果(フェルール効果や帯環効果)が2倍になるとの報告もあります。
 

出展元:歯科技工 September 2022 vol.50 no.9 

特集 歯科技工にIOSが必要な理由(ワケ) page843〜page844より

bottom of page