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 下の画像は「スキャナを騙すエッジロス解決」の実例の図8です。

株式会社医科歯科技研 藤原芳夫社長の論文を読んで
第5回

 石膏模型ではマージンが明瞭であるにも関わらず、スキャンデータではマージンがぼやけています。これはエッジの下部の計測ポイントをスキャナが支台歯の形状として認識していない為であり、ほぼ「エッジロス」を起こしていない状況となります。このデータの断面図を見ると一層明らかで、それを示したのが図9です。

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 造形後内面から観察すれば、ほぼマージンは確定する事が出来、プリント模型を作り支台歯のトリミングを行い、それに合わせて調整しても良い。更にマージンが歯肉縁下深く設定されて歯肉と歯質が接触している場合、スキャン時の邪魔になる処だけをナイフで削り、マージンを歯肉頂付近に設定すれば良く(図11B)、実際の支台歯マージン部にマージン設定をしなくても、この場合はデザイン形状そのものがマージン設定されており、図11A、Bの矢印の外側にデザインソフトのオフセット機能によるステップが付くが、造形後削れば良いと書かれています。支台歯はトリミングするものであるという既成概念、或いはラボスキャナでは臨在歯付近のマージンデータが取得出来ないからか、一般的に支台歯はトリミング後にスキャンされる。また口腔内でIOSを利用する場合にもマージンを明確にする為、歯肉圧排する事が多いとされているが、如何なる場合も正しい選択だと言い切れるだろうか(図12)と思われ、藤原社長は滲出液が無ければ必要ない作業だと考えておられます。「スマート法」に準じたスキャンをすれば、マージンの「エッジロス」が無いデータが得られ(図13)、造形後の適合作業も容易であるとの事です。

 また、トリミングをしない技工作業には別の利点もあり、ガム模型を作らなくても歯肉を意識した技工作業が可能であり(図15)、分割していない為コンタクトも正確で、また石膏を削る模型製作をしない事から大量の埃や音が出ない等の利点もあり、医科歯科技研様ではジルコニア・オンパウダー等、分割模型の製作が必要な場合のみは、臨在コンタクト部が分割されたプリント模型を使用し(図16)、石膏模型をほぼ触ら無い工夫をされていると書かれてありました。

 支台歯のほぼ真ん中の唇舌方向の断面で、石膏模型のマージンが明瞭に存在したマージンの切れ込みがデータとして表れていないのが解ります。本来なら矢印付近にマージンの切れ込みが存在するはずですが、図8Aに見られるマージンの切れ込みが図9では全く観察出来ず、切れ込みの消失と共に「エッジロス」も消失している事になり(注2及び図10)、このスマート法のポイントは、分割模型が必要であってもスキャン後に分割、トリミングするという事です。この場合、確かにマージン部は不明瞭でデザイン時にマージン設定し辛いが歯肉上、つまりオーバー気味に設定し、造形後にトリミングすれば良いのです(図11A)。

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出展元:歯科技工 September 2022 vol.50 no.9 

特集 歯科技工にIOSが必要な理由(ワケ) page840〜page843より

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