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​睡眠時無呼吸症候群とスリープスプリント療法について①

睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:SAS)とは、眠っている間に呼吸が止まる病気で、医学的には10秒以上、気道の空気の流れが止まった状態を「無呼吸」とし、睡眠中に無呼吸が30回以上、若しくは1時間あたりに5回以上あれば、「睡眠時無呼吸症候群」と診断されます。

無呼吸症候群のタイプは次の通りです。

1.閉塞性睡眠時無呼吸タイプ

空気の通り道である上気道が脂肪や舌などで塞がれて物理的に狭くなり、呼吸が止まってしまいます。睡眠時無呼吸症候群の9割がこのタイプと言われています。

 

2.中枢性睡眠時無呼吸タイプ

呼吸中枢の異常によるもの。心臓機能が低下することにより脳からの呼吸指令が出なくなってしまいます。

閉塞型睡眠時無呼吸症候群は肥満や顎の骨格などの体形が原因で起こり、喉の空気の通り道(気道)が狭くなると呼吸がしずらくなり、「いびき」が生じ、更に気道が一時的につぶれ塞がってしまうと「無呼吸」を引き起こします。

 

気道を狭める一番の要因は肥満による首回りの脂肪沈着で、もともと肥満体型の方よりも、若い頃と比べて10キロ以上体重が増えた中年太りの人で、習慣的に「いびき」をかく人は注意が必要です。また、日本人は痩せていても、顎が小さい特徴があるため、睡眠時無呼吸症候群になる方が多く見られます。

 

睡眠時無呼吸症候群の代表的な症状は次の通りです。

就寝時

①いびきをかく

②呼吸が止まる

③呼吸が乱れる、息苦しさを感じる

④寝汗をかく

⑤何度も目が覚める。

(お手洗いに起きるなど)

起床時

①口が渇く

②頭痛がある

③熟睡感がなく、スッキリ起きられない

④身体が重いと感じる

日中

①強い眠気がある

②怠さや倦怠感がある

③集中力が続かない

④いつも疲労感がある

睡眠時無呼吸症候群が深刻なのは、寝ている間に生じる無呼吸が、起きている時の活動にも様々な影響を及ぼすことです。本来睡眠は身体の休息に必要不可欠な時間ですが、その最中に呼吸停止が繰り返されると、体の中の酸素が減り、その酸素不足を補おうと身体が心拍数を上げ、脳や身体には大きな負担が掛かり、その結果、強い眠気や倦怠感、集中力低下などが引き起こされ、日中の様々な活動に影響が生じます。長期間にわたる「無呼吸」は、心臓疾患や脳疾患の発症リスクを引き上げ、突然死を引き起こす事もあります。

 

睡眠時無呼吸症候群の治療法には、症状を緩和させる内科的治療(対症療法)と、根本的に原因を取り除く外科的治療(根治療法)、軽度な症状に適したスプリント療法(歯科装具のスリープスプリントを製作して用いる療法)に分かれており、患者さんの状態に合わせた最適な治療方法が選択されます。

睡眠時無呼吸症候群の原因は人それぞれですが、次のような軽度な症状の場合には、スリープスプリント療法が効果を発揮します。

①肥満気味で喉の奥にも脂肪がついている。

②加齢の影響などで舌が喉に沈みやすくなっている。

③もともと下顎が小さい、または下顎が後退している。

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