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​睡眠時無呼吸症候群とスリープスプリント療法について②

 スリープスプリントは舌の落ち込み防止が期待できますが、逆に口蓋垂や扁桃の肥大が原因で生じている「いびき」などには効果はありません。また寝つきが悪いなど不眠の症状がある場合も、口に異物があることで余計に眠れなくなってしまう恐れがあるため、お勧めしません。きちんと専門家に相談し、ご自身の症状に合った方法を選択しましょう。

 

 治療用のスリープスプリントは、健康保険が適応されます。一般の顎関節症治療用や歯ぎしり防止用やスポーツ選手が使用するスポーツマウスガードとは大きな違いがあります。スリープスプリントは上下一体型で、下顎を上顎よりも前方に数㎜突き出して、受け口の様にした状態で噛み合わす形で固定するので、歯を守る以外に下顎を強制的に前方向に押し出す役割も持っており、下顎が前に出ると気道は横に広がり、上気道が広く保たれることで舌が喉の奥に沈み込むのを防ぎ、喉の空気の通りがよくなるため「いびき」も緩和されます。またコンパクトなので携帯可能で、旅行時にも便利です。

 

 スリープスプリントは1~3ヶ月の装着で慣れてきますが、使用後に顎に痛みを感じたり、歯にぐらつきなどの違和感が出たりすることもあります。また二次カリエスや歯周病の悪化を防ぐため、毎日装置の洗浄を行い、メンテナンスすることが重要です。作製してからも歯科医院に通い、定期的に診て貰いましょう。

「スリープスプリント」の治療に向いていない人は?

①歯の数が少ない人(上下で20本未満)

②いつも鼻がつまっている人や神経質で寝つきの悪い人

③検査の結果「重症」と診断された人

 

どの様な人が無呼吸症候群になり易いか?

①顔の骨格が面長で、横から見ると奥行がない人

②顎が小さく、歯列が狭い人

③肥満体型の人

④口呼吸の人            

 また、予防を心掛ける方法として①普段から口を閉じ、出来るだけ鼻で呼吸をする。(舌を口蓋に付けたり、舌先を切歯乳頭付近に置き、舌全体を上顎に着けで鼻腔を広げる様にすると、鼻呼吸しか出来ない。)②幼少期から食事はよく噛んで食べることで顎の発育を促す。③扁桃腺肥大(アデノイド)のある人は早めに切除する。④歯並びを改善(出来れば矯正治療)する。⑤舌は筋肉なので口を閉じ、上下左右、唇の内側を回して舌の筋力アップをする。などがあります。

 現代は、大声で話たり柔らかい食べ物も多くなり、普段から口周りの筋肉をよく使わなくなったため、上下の顎が十分に成長せず、舌周りの筋肉も弱くなり、睡眠時に舌が喉の奥へ沈下する傾向が強く、その状態で呼吸すると「いびき」になります。舌を鍛えることで舌の筋肉が強くなり、嚙み合わせなどの改善も期待され、気道も広くなるため、「いびき」も改善出来きます。

 

 スリープスプリントは、医療機関で睡眠時無呼吸症候群と診断されると保険適用になり、専門の医療機関で睡眠時無呼吸症候群の診断書・紹介状を取得し、歯医医院で製作をして貰います。装着後は検査を行った医療機関で、スリープスプリントの効果判定を行うことをお勧めします。

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