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​歯科技工士のための感染知識と対策例8
​~歯科技工士が特に注意すべき病原体 その3~

​(4)エイズウイルス(HIV)

  Bエイズ(acquired immunodeficiency syndrome AIDS)は、ヒト免疫不全ウイルス(human immunodeficiency virus, HIV)に感染して細胞免疫能が極度に低下して易感染性宿主となり、日和見感染が
多発し、悪性腫瘍が合併した状態ものをいう。
​ 現在、我が国でも性交渉感染(STD)として感染拡大している。HIV感染者にAIDSを発症させない抗菌薬療法は高い成果をあげているが、HIVを駆逐する根治療法は、まだない。また、感染予防ワクチンの実用化はされていない。

 

​(5)油断大敵のウイルス

  歯科医療機関を訪れる患者で、下記のウイルス保菌者でありながら発病していない子どもや高齢者がいることも考えておかなければならない。

① ヘルペスウイルス
  水泡(ヘルペス)を作るウイルスで、唾液に検出され、感染しても必ず発症するものではない。初めて感染(初感染)して潜伏しているヘルペスウィルスが、免疫能の低下に伴って疾患を繰り返すものと、再び発症すると初感染と異なる疾患を起こすものがある。
 単純ヘルペスウイルス(HSV)は、主に口腔領域に潜伏感染するHSV-1と泌尿器官領域に感染するHSV-2が存在するが、その感染領域はセックスの変化にともない区別がはっきりしなくなったと言われている。
 HSV-1は口唇ヘルペス、口内炎、ヘルペス性ひょう疽、、ヘルぺス性角膜炎、顔面神経麻痺などを発症させ、易感染性宿主には農園を起こすことがある。米国はHSV-1感染により人差し指にひょう疽のある歯科衛生士が手袋をしないで口腔に触れて多くの患者に急性の口内炎を引き起こした院内感染があった。
 水痘-帯状疱疹ウイルス(VZV)は、小児に水痘(水疱瘡を発症させ、成人になってから再び発症すると帯状疱疹を起こす。
 ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)は、唾液で感染することが多く歯科医療機関内での感染防御が大切である。易感染性宿主は感染しやすく、発熱、全身倦怠から死に至ることもある。


 ② 流行性耳下腺炎ウイルス
 流行性耳下腺炎(mumps)ウイルスは、いわゆる”おたふくか”病原体である。唾液を介して経気道的に感染し、3週間程度の潜伏期を経て発病すると耳下腺が腫脹する。思春期を過ぎた男子では、ムンプスウイルス発症者の20〜25%に睾丸炎が起こり、まれに不妊になることがある。


 ③ コクサッキーウイルス
 コクサッキーウイルスによって発症するヘンパルギーナは乳幼児は初夏に罹患することが多い。感染すると3~6日の潜伏期を経て手足口病と言われるように手足口に水疱などの症状がみられる。
 

出展:歯科技工士のための感染知識と対策例                                発行元:公益社団法人 日本歯科技工士会
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