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歯科技工士を取り巻く環境について
〜その2〜

​歯科技工士の過酷な実態 (全国保険医新聞2019年3月25日号より)

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 日本の歯科業界を支えくださる歯科技工士の方々が危機的な状況にあります。低歯科診療報酬の下で十分な歯科技工料を得られないことで、歯科技工士の過酷な労働と低収入が常態化しており、歯科医療全体にとって、重大な課題となっています。歯科技工の方々の現状についてさらに

 

 歯の咀嚼機能を回復する歯冠修復・欠損補綴は、歯科医療の中心的な分野のひとつです。歯冠修復にはインレーやクラウン、欠損補綴治療にはブリッジや義歯などの歯科技工物を用いります。歯科技工物は患者さんの口腔内で失われた機能を代行する人工臓器と言われ、患者一人ひとりの口腔に合わせて精密に製作され、その製作には高い技術が求められています。


 歯科技工物は歯科医師、もしくは国家資格を有する歯科技工士以外に製作することができません。歯科技工士は歯科医院に勤務して院内で技工を行う方と、院外の歯科技工所で歯科医師の外注を受けて技工を行う方がいますが、現在では後者の割合が多くなってきています。


 今、歯科技工物の製作現場は非常に厳しい状況にあります。

2019年の日本歯科技工士会のデータによると、1週間

あたりの労働時間が81時間以上と回答した技工士は28.5%

で、約3人に1人が過労死ラインを超える労働時間となって

います。その内100時間以上という回答も1割を超えており、

長時間労働の一方、歯科技工士の仕事の平均年収は約375

万円で、日本の平均年収と比較すると低い傾向にあります。
月給で換算すると31万円程度が相場のようで、アルバイト・

パートでは平均時給が1,299円、派遣社員では1,451円となっています。
 正社員の給料分布を見てみるとボリュームが多いのは330〜425万円の水準で、平均年収の375万円もこのゾーンに含まれています。
 全体の給与幅としては330〜1,093万円と比較的広いため、勤務先や経験・自費等での求められるスキルによっても大きな差があると見受けられます。


 2025年には、団塊世代のすべてが75歳以上の後期高齢者となり、入れ歯等の歯科技工物の需要は拡大され、また、その子ども達である第二次ベビーブーム世代も50代となり、欠損歯が増え始め部分義歯などの歯科技工物はさらに需要が増加されると思われます。このような状況の中、何とか崇高な仕事である歯科技工士を目指す若者を増やすべく、大手技工所を始めラボ経営をされるの方々は若者の定着はもちろん、既存の熟練技工士にとっても働きやすいより良い環境作りに励まれておられますが、個人経営や小規模ラボでは、これまでの超長時間労働と低収入が常態化しており、多くの若い歯科技工士の方々が歯科技工業を離れてしまう実態が、厚労省の科学研究で明らかにされています。

 また、歯科技工士の志望者も激減しており、1991年には72校あった歯科技工士養成施設は2019年には47校に、同じ期間の入学者数は3,155人から927人へと、実に3分の1以下にまで激減しています。


                             将来の歯科技工を担う人材育成、技術の

                            継承は危機的な状況にありますが、弊社も

                            微力ながら、歯科技工士養成施設への歯科

                            材料提供や歯科技工士の方々への適性価格

                            販売等の対応をグループ全体で努めてまい

                            りますので、お手伝いできることがござい

                            ましたら、ご遠慮なくお問合わせいただけ

                            ますと幸いです。

 

国民の皆様の口腔の健康確保も危ぶまれる事態を回避するために、是非、お口の中にある歯科技工物を誠実に製作されている歯科技工士の方々の過酷な実態に目を向けていただけたらと思います。

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