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​3Dプリント総義歯がついに保険収載へ

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 厚生労働省が11月12日に公表した資料により、
液槽光重合方式3Dプリンタで製作する総義歯(3Dプリントデンチャー)が、2025年12月1日から保険収載される見通しとなりました。

 これまで長く議論されてきたデジタルデンチャーが、ついに保険制度の中で認められることになります。今回は歯科領域において大きなトピックとなるこちらの情報について、歯科技工側から考察しご紹介いたします。

​保険収載される材料について

 今回対象となるのは、クルツァージャパンの以下の2種類です。

● 歯冠部用レジン
     ディーマ プリント デンチャー ティース
     価格:1歯 59円

● 義歯床用レジン
     ディーマ プリント デンチャー ベース
     価格:1顎 2,026円

 歯牙部と床部を別々にプリントし、後で接着して組み立てるタイプで、海外で一般的な方式と同じ流れです。

​3Dプリントデンチャーとは

 液槽光重合方式(DLP / LCD)を使用し、スキャンデータを基に義歯を積層造形する総義歯のことです。


技工士が得られるメリットは以下の通り
 •    石膏模型・フラスコなどのアナログ手技が大幅に減る
 •    誤差要因が減り、適合の安定化が期待できる
 •    デザインデータの保存で、破損・紛失時の再製作が短時間で可能
 •    人による作業差が小さく、品質管理がしやすい
 •    技工所としては医院の「データ保管パートナー」になれる


 
 
特に、データ再製作が容易になる点は、技工所にとって新しい収益モデルにつながる可能性があり、患者・医院・歯科技工所の長期的なデータ連携を可能にします。

​技術料と算定方法

 3Dプリント義歯は、新しい点数ではなく既存の点数を準用します。
   •    技術料:M018 有床義歯2(総義歯・1顎)/ 2,420点

つまり、従来の総義歯と同じ点数枠内で運用されます。
材料費だけが専用の3Dプリント材料として新たに設定された形です。

注目すべき点は、
「3Dプリントという製作方法そのものが保険制度上で正式に認められた」という事実です。これは非常に大きな前進です。

​算定のための施設基準

 医院が3Dプリント義歯を算定するには、以下の条件を満たす必要があります。

① 補綴経験のある歯科医師の配置(医院側)
② 設備または技工所との連携

以下のどちらか:
   •    医院内に3Dプリント義歯製作装置+歯科技工士の配置
または
   •    3Dプリント義歯製作装置を持つ歯科技工所との連携


技工所にとって重要なポイント!
医院が装置を持たない場合、技工所が設備を持っていれば連携先として需要が高まる可能性があります。


※ただし上記のビジネスチャンスを手に入れるためには、3Dプリンター本体取扱いはもちろんのこと、レジンの扱いやプロセス、接着法、CAD操作の熟練度UPのために、再教育が必要なることは必須です。

​技工所として備えておくべきこと

今回の保険収載で、3D義歯の需要が大きく増えることが予想されます。
技工所としては、
次の点を事前に準備しておくと対応しやすくなります。
   •    DLP/LCDプリンタ、洗浄・二次硬化機、接着工程など
         製作ラインの確立
   •    使用材料(ティース/ベース)の特性把握
   •    設計ソフト(CAD)のワークフロー構築
   •    医院からのデータ受け渡し方法の整備(STL、咬合データなど)
   •    データ保管の体制づくり
   •    医院へ「技工所として連携可能」であることの情報提供


デジタルデンチャーを扱うことで、技工所側にも新しい強みが生まれます。

​まとめ

 •    3Dプリンタ(光重合方式)による総義歯が2025年12月から保険
​   収載予定
   •    対象材料は、クルツァージャパンのティース/ベース
   •    技術料は従来の総義歯(1顎 2,420点)を準用
   •    医院は技工所との連携で算定可能
   •    技工所にとっては、新しい受注・デジタル対応のチャンス

デジタル義歯が「保険」というフィールドに入り、
技工所のワークフローと役割が大きく変革する可能性があります。


 

参考文献

  • 「医療機器の保険適用について(令和7年 12 月1日収載予定)」中医協, 2025年11月12日

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