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歯科技工士のための感染知識と対策例13
〜最終回~
7.感染予防の環境整備
歯科技工現場でもオートクレーブ、紫外線滅菌格納庫などに加えて感染予防にバキューム、超音波洗浄器などを整備しなけらばならない。
1)バキュームの使用
結核菌の保菌者が多いことに加え、薬剤耐性結核菌の蔓延がみられるようになり、その飛沫感染を防ぐ点で歯科技工現場でのバキューム使用は必須になっている。修理義歯などには、結核菌が付着していると考えなければならない。そのため、切削や研磨作業には、バキュームおよび遮蔽板の使用のうえ、マスクやゴーグルの着用は必要となる。
2)超音波洗浄機の活用
歯科技工物や切削器具などは、適切な濃度の消毒薬に浸し、超音波洗浄器を使えば病原体の殺菌効果が高まる。バイオフィルムを形成する病原体や消毒効果を防げるへばりついた生体の有機物を取り除く効果もある。
3)医療廃棄物保管庫
歯科技工現場での医療用廃棄物も多種類にわたる。その期間内で処分できないものは廃棄物保管庫に入れておき、専門業者に委託して、滅菌処分しなければならない。
(付記)医療担当者として必要なワクチン接種
日本での予防接種は、任意にされているものが多い。予防接種による恩恵は断然多いにも関わらず、まれにみられる副作用によるリスクのため、実施率が高いとは言えない。日本でのB型肝炎のウイルスキャリアーは減少傾向にあるものの感染率は高いため、HBs抗体保有者を除く歯科学生や歯科衛生士学生に対して、遺伝子操作技術によって酵母に作らせた組換え感染予防ワクチン接種がなされている。
【主な参考文献】
1.小林寛伊編集:新版消毒と滅菌のガイドライン、ヘルス出版、2011年
2.吉眞一、柳 雄介、吉開 泰信編集:戸田新細胞学(改訂33版)南山堂、2009年
3.奥田克爾、石原和幸、加藤哲男著:最新口腔微生物学、一世出版、2009年
4.奥田克爾著:デンタルバイオフィルム、医歯薬出版、2011年
5.浜田泰三、二川浩樹著:デンチャープラーク、医歯出版、1991年
6.二川浩樹他著:口腔カンジタの付着およびバイオフィルム形成、真菌誌、46:233-242、2005年
7.小林寛伊編集:歯科医療現場における感染防御のためのCDCガイドライン、メディカル出版、2004年
8.ICHG研究会編集:歯科医長における院内感染予防マニュアル&テキスト、医歯薬出版、2007年
9.日本歯科医学会監修:エビデンスに基づく一般歯科診療における院内感染対策、永末書店、2007年
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