top of page

​歯科技工士のための感染知識と対策例12
 

~標準感染予防策の基本になる滅菌・消毒 その3~

​(7)塩化セチルピリジニウム(CPC)

  塩化セチルピリジニウム(CPC)は、クロルヘキシジンと同様、細菌表層の陰性荷電部位に結びつくイオン系殺菌剤である。低濃度でも抗菌性があり、洗口剤などに加えて使われる。

​(8)塩化ベンザルコニウム

  陽性の荷電基をもつ塩化ベンザルコニウムは陽イオン界面活性剤や逆性石けんと言われ陰性荷電している細菌の表面に吸着し、外膜や細胞質膜を破壊して殺菌する。塩化ベンザルコニウムは、無色無臭なうえ毒性も金属腐食性もなく広く常用されているが、結核菌、芽胞、多くのウイルスに無効である。

​(9)両性界面活性剤

  両性石けんともいう。第4級アンモニウム塩と同様に、結核菌に優れた殺菌力を示す特長から、結核菌の混入が考えられる医療器具の消毒に0.2~0.5%濃度で使われている。血清などタンパク質の存在によって効力が低下することはない。ほとんど無臭でありながら陽イオン界面活性剤よりも洗浄力がある。しかし、芽胞に無効でウイルスにも効果が低い。
 

​4)洗浄剤

  殺菌力はそれほど強くないが、弱い消毒剤としての作用を有するものを洗浄剤として一括した。

​(1)義歯洗浄剤

  義歯に付着するいわゆるデンチャープラーク細菌を殺菌し洗浄する目的で、生石灰、第三3リン酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどが使われている。

​(2)過酸化水素水

  義歯に付着するいわゆるデンチャープラーク細菌を殺菌し洗浄する目的で、生石灰、第三3リン酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどが使われている。

​(3)強酸水

  強酸水は、食塩水を電気分解して(+)側に産生される次亜塩素酸(HCLO)、塩素イオン(Cl-)などの殺菌力歯を期待するものである。電解水や機能水として多くの会社からその製造機が販売されている。
 アメリカ食品医薬品局(FDA)は、高水準消毒薬としている。日本で用いられているものは、その濃度に達していない。厚生労働省により電解酸性水製造機の適用は、流水式による2分間の手指消毒と内視鏡の洗浄消毒のみが認可されている。
 食塩水を電気分解したものであり、生態系の破壊をもたらさないとして出荷前の野菜の洗浄や病院内の床などの清掃に使われている。健康な皮膚の洗浄効果もあるという。タンパク質の存在下で効力が弱まることや金属腐食性が強いなどの欠点がある。市販されている強酸水製造装置で作られる場合は、その次亜塩素酸などの濃度がモニターできない。また、製造後次亜塩素酸などの濃度は、徐々に低下することにも注意をしなければならない。

出展:歯科技工士のための感染知識と対策例                                発行元:公益社団法人 日本歯科技工士会
bottom of page