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歯科技工士のための感染知識と対策例11
~標準感染予防策の基本になる滅菌・消毒 その2~
(3)アルコール系
アルコールは、タンパク質を変性させて殺菌効果を発揮する。エタノールは60~95%の範囲で強い殺菌力を発揮するが、40%以下では殺菌力がほとんどない。エタノールは、特定のウイルスに作用して不活化する。ウイルスの不活化は、濃度の高い方が効果的である。しかし、エタノールに不活化されないウイルスも少なくない。
イソプロパノールは、70%の溶液で殺菌効果を示す。エタンノールに3.7%加えた消毒用エタノールは、噴霧して手指の消毒などに使われる。
エタノールに0.2%の割合にクロルヘキシジンや塩化ベンザルコニウムを加えたものは、手指消毒用として市販されている。
(4)ヨー素系
ポビドンヨウド液は、殆ど全て微生物に有効である。また粘度面への刺激性も少なく、口腔、咽頭の消毒剤として多用されている。イソジン液やネオヨジン液の商品名で市販されており、原液には、有効なオードを1ⅿlあたり7~10mg含む。10~100倍に希釈して使われる。
ヨードチンキは、ヨード6.5g、ヨードカリ2.5gをエタノール91mlに溶かしたもので、希釈して創面や粘膜面の消毒にも使われていた。
ヨードホルムは、体液などによって溶けるヨードを遊離して消毒効果を示す。創面などの消毒に使う。
ヨードホールは、ヨードを界面活性剤と結合させて、水に溶解するとヨウ素が遊離して殺菌効果を発揮するようにしたもので、有効ヨウ素濃度は75~150ppmである。毒性が低く手指、布類などの消毒に適している。
(5)フェノール(石炭酸)類
クレゾールを石鹸液に溶かしたクレゾール石鹸液の1%溶液は、手指などの皮膚の消毒に用いられたが、特有の臭気があり使用が限られるようになった。
トリクロサンは、イルガザンDP-300として使われル。皮膚への刺激、毒性が少なく、石鹸に用いられ足りして手指、布類などの消毒に適している。
(6)クロルヘキシジン
クロルヘキシジンは、強アルカリ性であるためにグルコン酸塩で中和してグルコン酸クロルヘキシジンとして使用されている。界面活性剤を添加した商品名ヒビテンが消毒薬として市販されている。特定の細菌に低濃度で抗菌性を示す。消毒剤である。陰性荷電している最近の表面に付着して膜を破壊し、タンパク質を変性させる。普通石鹸との併用は、マイナス効果となる。ヒビテン5%溶液として市販されているものは、毒性が低い点から手指、粘膜、創面、手術野の消毒に多用されるが、多くのウイルスや結核菌、芽胞をもつ菌に無効であることの考慮しなければならない。
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